
マースの五原則は、マースの日々のビジネスの取り組み方の基盤となっています。世界80以上の国と地域で、14万人のマースのアソシエイトが働いているため、明確な方向性と道徳的な指針が不可欠です。長期的なマースの事業と地球の未来は、私たちがより意欲的でいること、そして大胆な行動を取ることに委ねられています。そのため、マースを常に独自な存在にしてきた価値観であるマースの五原則を活用することで、絶えず変化する世界にプラスの影響を与えるあらゆるチャンスを手にしています。
私たちが意思決定を行う際には、必ずマースの五原則を中心に考えています。これが何を意味するのかは次の通りです。
- 私たちは、仕事の品質と社会への貢献にコミットしています。
- 私たちは、(個人として、企業として)今、行動を起こす責任を受け入れます。
- 私たちは、ステークホルダーが利得を得られるよう、互恵の下、意思決定を行います。
- 効率の持つ力を生かして資源を最大限に利用します。
- 私たちには、他人の動機に縛られずに、自ら意思決定を行う財政的自由があります。
私たちは、マースの取り組みの価値はその実践の方法にあることを理解しており、次世代のためにより良い世界を築いていく上で役立つ行動をとります。
マースの五原則:品質
私たちは常に、大切なお客様に対して質の高い価値ある製品を適正な価格で提供することを目指します。
マースの五原則:責任
個人として責任を持って行動し、アソシエイトとしてお互いが責任を遂行できるよう協力し合います。
私達は多くのブランドやビジネスを世界各地で展開している企業です。さまざまな状況において中央集権的に決定を下していては成長は望めません。ですから、アソシエイトには割り当てられた仕事を自己の責任において自由に遂行する権利が与えられています。責任を持ち卓越した結果を出す見返りとして、アソシエイトは尊重され、支援を受け、実績に応じて公正に報酬を受けます。また、私達はアソシエイトの努力を認め、その成功を祝福します。さらに大きな職務に就くために求められるアソシエイトの能力開発も奨励しています。
私たちアソシエイトが業務において共通のゴールを目指し協力し合うように、各ユニット同士も企業としての大きな目的を達成するためにお互い協力し合わねばなりません。ユニットそれぞれが任務についての全責任を担うするといっても、ユニットやディビジョンは互いに支え合う存在であり、互いを支援しなくてはなりません。私たちは密接に関わり合っていますから、目的やプラン、活動やニーズなどを積極的に伝え合い、相違点があれば、それを埋めていかなくてはなりません。
責任の原則は、常に正直で誠実であるというアソシエイトの義務から、地域社会と環境に対する企業の倫理責任に至るまで、マース全社、全業務に適用されます。それぞれの貢献を評価し認めているので、全てのアソシエイトを公正に平等に扱い、差別的な偏見を避け、礼を欠く言動はどんな場合にも認めません。これが私たちが互いを「アソシエイト」と呼ぶ理由であり、年齢・性別・民族・宗教にこだわらない、マースに流れる平等の精神の源です。ですから、私たちはこの価値観に沿って行動しないアソシエイトに注意を促す勇気を持たねばなりません。私達の言動が原則と一致していれば、結果はついてくるものだと信じています。
マースの五原則:互恵
持続可能な利益は、共に恩恵を分かち合うことで成り立ちます。
私たちは、ビジネスにおける絆とは、どれだけ互いに恩恵を分かち合うかで測るべきだと信じています。こでいう恩恵とは、必ずしも経済的なものだけではなく、さまざまな形のものです。また、激しい競争の只中でも、マースは共に働く人に経済的または他の形で理不尽な負荷をかけることはありません。この互恵の原則の頼もしい導きにより、私達は企業として新たな土地と文化の中で成功を収めてきました。この原則があるからこそ、私達は企業市民として活動し、環境に与える影響を最低限に止め、地球の天然資源を賢く効果的に利用することができるのです。
私達は消費者や、仲間であるアソシエイ卜、サプライヤー、ディストリビューター、また私たちが暮らし働く地域社会と強い絆によって相互に支えあっています。これらの関係において私たちが利己的にならずに、正当に利益を分かち合って初めてすばらしい成功を収めることができるのです。
品質と価値における私達の信念は絶対的なものです。ビジネスでどんなプレッシャーにあっても、確かな品質と価値を提供できれば、その見返りとして支持を得、成功を収めることができるという基本をふまえた行動と決断を私達はとるべきです。この原則を無視して得た利益は、長くは続きません。
互恵の原則はビジネス全般に平等に適用されます。アソシエイトは個人の能力によって評価され、結果に応じ公平に報酬を受けます。人それぞれのライフステージによりニーズは異なりますから、アソシエイトが、個人の生活とのバランスのとれたワーキング・スタイルやキャリア選択を行うことを認めています。ユニットは、マース全体のためになる目標を目指し、そのための支援と資源が与えられます。株主はそのたゆまぬコミットメントにより、投資に応じた報酬を得ます。
サプライヤーやディストリビューターと交渉する際には、私たちにとって最適な物資やサービスを要求しているわけですから、相手のビジネスを傷つけるような条件を強要してはいけません。互恵の原則を守るということは、環境を尊重し、目標達成に向けて最も継続可能な方法を考案するという義務を自らに課す事です。私たちは、パートナーシップから恩恵を得ると同時に、地元および各国地域のコミュニティーの生活の向上と発展に努めています。
私たちは互恵の精神を守り企業責任の水準を常に高く保ってきました。それは、企業統治における倫理観の継続的な強化と、どこにあっても公正な取引をする事につながります。私たちは互恵の原則を中心に、アソシエイトや顧客と、信頼し尊重しあい、誠実な関係を築いています。
マースの五原則:効率
私たちが最も力を発揮できることのみに、限りある資源を効率的に、無駄なく使用します。
どうしたら原則を保持し、かつ価格に合った価値を提供し、成功を分かち合うことができるでしょうか?私たちの強みは効率、すなわち生産性を最大にするために、全ての物理的、財務的、人的資産を活用する能力にあります。このようにして私たちは、可能な限りの低コストで、資源を浪費せずに、高い品質の製品とサービスを製造し流通しています。同様に、業務の過程における意志決定についても、最も効率的な方法を探っています。
マースには他企業とは違うビジネス哲学があり、これこそが成功の秘訣です。私たちは総資産利益率(ROTA)を、財政上の指針のみならず、成長の促進剤として選びました。資産を最小化することにより、消費者に価格に見合ったすばらしい価値を提供し、かつ競合他社よりも利潤を抑えた健全なビジネスを行っています。
私たちのユニットは、常に生産性の向上とコストの削減を目指し努力をしています。オフィスはオープン・スペースで、直接的なコミュニケーションをとり、アソシエイトの知識・経験は即座に共有されます。工場は整頓され、清潔で、簡素であることを基本に設計されています。私たちはたゆまず革新を続け、生産性を上げ、浪費を少なくし、環境にやさしく、学んだことを世界的に活かせるような、新しいプロセス、技術、働き方を常に模索しています。
どんなビジネスもそのオペレーションは簡単ではありません。私たちのビジネスを向上させるには、さらに多くの経験と知識が必要です。ですから、私たちが高度な専門性を有していない事業に新たに取り組む場合は、参画する前にじっくり検討します。新規事業を立ち上げる時には、ROTAポリシーを適用し、早期に効率的に利益があがるよう努めます。
効率化は私たち皆で行う任務です。効率化を図るには絶えることのないオープンなコミュニケーションが必須であり、また個人および組織の仕事のあり方を明確にしなければなりません。無駄のないビジネスと、少数精鋭、そして才能あふれるアソシエイトが行う責任の大きな仕事は、効率の原則が生きている証なのです。
マースの五原則:自由
私たちの将来について自ら決定できる自由を維持し、そのために利益を創出します。
マースは世界でも最大の私企業のひとつです。私たちはあえて個人経営の道を選んできました。多くの企業がマースと同じように創業しましたが、成長して更なる資金源が必要になると、事業に活力を与えるために株式を売りに出したり、債務を繰り延べたりしました。彼らは自由と引き換えに成長してきたのです。しかし私たちは、成長と繁栄は、別の方法でも達成できると信じています。
マースの自由は、利益の創出にかかっています。マースが自由であるためには、利益を生み出さなければなりません。マースが利益をあげている限り、大きな借金をしたために自分たちのやり方でビジネスが進められなくなるような状況にはなりません。同時に、利益の創出は、マースのビジネスを構築し、仕事を通じて変化を起こし続けるための能力をもたらしてくれます。ファミリーメンバーのマースのビジネスに対するコミットメントと同じコミットメントをアソシエイトにも求めます。私たちの原則を、社内外すべての人々のために活かしてください。そのために、毎年営業利益のかなりの部分が再投資にまわっています。その投資が、工場の建設や改良、新たな市場への参入、R&Dでの研究開発費用、業務の革新と実施、新たなビジネスの獲得、戦略の構築など、私たちの競争力維持のために使われています。
マースが十分な利益を創出し続けることができれば、私たちが最善と考える方法で自由に事業を行うことができます。マースが成長する過程では、多角化への決断は慎重に行い、確実に他より優れていると思えるビジネスや市場にだけ進出します。
マースが自由なのは、個人経営であるからです。自由とは、各アソシエイ卜やユニットが、皆同じように責任をもって扱うべきものです。この方針により、企業は自由を維持し、アソシエイトは共通のゴールを達成しつつ、個人として革新し、行動し、成長する自由を亨受できます。このことが私たちが働きたいという環境を作り上げているのです。個人経営であり、かつ皆共通の目標と高い倫理水準をもっているからこそ、私たちはいち早く新たな分野を開拓し、競争においても大胆に動き、正しいと思ったらリスクをとることができます。その上、投資やビジネスの構築、アソシエイ卜の福利なども、長期的展望をもって計画できる自由があります。この精神が、これまでのマースを支えてきました。これからも私たちひとりひとりの中で、未来に向かう動力となっていきます。